こんなにもワクワクすることは、いつぶりなのかと考えてみる。

流奈の家へと向かうバスの中で、窓に映っている私は少しだけいつもより優しい顔をしている気がする。

遠い昔、遠足で行き先へと向かうバスの中にいるような、そんな感覚。

なんだか温かくて懐かしい。

久しぶりに会うはずなのに、あまりにも連絡を取っているせいか、そこまで久々でもない感じがしたが、やっぱり顔を見て話すのはなんだか楽しみで変な感覚だった。



『バスを降りてすぐ坂を下れば私が見えるから』と、言ってくれたのはいいのだけど、そんな姿はどこにもなくて、むしろ坂降りた場所もここなのかと危うい。

「ねえ?着かないんだけど……」

その電話をかけるのに時間はかからなかった。

「え?奈月、方向音痴?てか、どこに行っちゃったの?」

ケラケラ笑ってる流奈に、少しだけ嫌悪感を抱く。

「待って、迎え行くわ」

と、笑いながら放つその言葉に胸を撫で下ろして「待ってる」なんて電話を切ると、すぐに流奈は走って迎えに来てくれた。


久々に会う流奈は、髪の毛の色も一層明るくなっていて、なんだか時間が止まっているのは、自分だけのような気がしたけど、


それをすぐに覆すように流奈はいつものテンションで私を和ませてくれた。