梅雨の到来をにおわせるような頃、流奈からお泊りの誘いを受けた。

もちろん一つ返事で"OK"だと言いたかったのだけど、中学2年の頃から私を強く拘束している父の了承を得るのは不可能に近かった。

門限を10分すぎると暫くの間、外出禁止。

外泊なんてもっての外で、そんな家の規則が嫌で破り、遊んだこともあったが、すぐさま捜索願いを出されて、友達の家に警察が訪問しに来ていた。


流奈に迷惑をかけたくない


そんな気持ちでいっぱいだったから、断ろうとしたが私はやっぱり行きたくて母に頼み込んだ。

バイトも始めて約束の定期代も携帯代も払ってるし、

ちゃんと流奈の住所、自宅の電話番号を伝え、しぶしぶ"OK"サインが出た時、この時ばかりは母親が神様に見えた。


蒸し暑くなってきた6月、私にとって忘れられない一夜が始まる