「おい!奈月!調子乗って化粧なんてしてんじゃねぇ!」
その声が明らかにめぐみの物だと分かるまで少し時間がかかったが、なんせ分厚いめぐみの辞書が飛んできたのを見て、だいたいの状況は理解した。
振り返れば、私の部屋に仁王立ちして怖い顔をしているめぐみがいた。
また始まった
何か言い返すと、めぐみはヒステリックを起こすのは毎度の事だからなるべく私は言い返さず黙っていると、私をにらんでいる
「見てるとイライラすんだよ!そのスカした態度もあんたの彼氏も友達もみんな生意気で気に入らないだよ!」
「じゃあ見なければ?そもそも何で部屋に入ってきたの?」
「ちっ」と舌打ちをしためぐみは怒りで震え上がっているのを感じた。
「……よ」
「なに?聞こえないから!!」
そうめぐみに冷静に返せばめぐみは目を尖らせて体を震わしていた。
「死ねよ!!!」大きな声で、めぐみは私にはっきりとそう言った。
その瞬間、周りの景色の色が一瞬でなくなっていく……
頭が真っ白になるという表現はまさしくこうゆうことなのだろう。
ただ、私の頭の中は悲しみと怒りで支配されていく……。
もう理性なんてものはなくなっていて、気が付けばおもいっきり腕を強く掴んでいてめぐみの顔の目の前で拳を振り上げた。
「今なんて……もう一回言ってみろよ!!!」
許せなかった
ただただ許せないのは私にその暴言を吐いたことではなかった。
"死"と今も隣り合わせで戦っている妹がいる状況で、その言葉だけは許せなかった。
「だから、死ねって言ってんだよ!」
めぐみの罵声が部屋の中に響いた瞬間、母親が私の部屋に飛び込んできていた。



