凄く横から視線を感じるとは分かっていたが、やはり木本は私を横目で見つめていた。

「なによ、なんか言いたいことでも?もしかして木本は橋本さん怖いの?」

「いやだって、有名てことは悪いんだよ、良くねぇって!」

一体、急になんだって言うのか、木本はやたら私と橋本流奈が繋がることを恐れているようだ。


「けど、木本は何かされたわけじゃないんでしょ?」

「あぁ、そうだけどさ!じゃ内田は橋本さんとその彼氏の存在は怖くないの?」

「暴力受けたりしたら嫌だけど別にされてないし」

先程貰った手紙を見つめながらそう木本に伝えると、

「あまり深入りしない方が身のためだぞ!同じ地元じゃない俺でも耳に入ってくるって本当にやばいやつかもよ」

なんて、必死に身を乗り出して私を説得している。

「ここらへんの不良はマジで気をつけろ」だなんて念を押しながら。


私なんてどうなったっていいんだよ!!

そういっそのこと言ってやろうかと思ったけど、木本の真剣な顔を見てたら言う気分でもなくなってしまい、

「私のことなんて気にしないで」

気づいたらそう静かな声で呟いた。


私なんて木本に心配されるような綺麗な人間なんかじゃない。

時折見せる木本の少年らしい輝いた瞳を見ると、たまに心がキューッと苦しくなるんだ。

そして羨ましくもなる。


15歳らしい夢....

15歳らしい感情....


私はやっぱりどこかに置いてきてしまったんだ

そして未だに取り戻せないでいる