西校舎の佐倉くん

次の日──


「実咲!どうだった?」

「おはよう皐月。・・・どうって?」


「幽霊校舎の肝試しだよ!」


「あぁ・・・普通だったよ」


「普通って・・・」


「すっっごい怖かったーー」


「何その適当な返事!もー。私が行かなかったの怒ってるの?」



「怒ってないよ?」



むしろ皐月がいたら、きっとあのとき追いかけてきていたから。
佐倉くんに出会えなかったかもしれないし。



「まぁ、風は冷たいし変なピアノの音は聞こ・・・あ、何でもない」


「ピアノの音?!え、聞こえたの?」


「何でもないってば」


「おはよう薙原さん。」


「おはよう高野さん」


「ねえ高野さん、ピアノの音、聞こえたの?」




皐月は怖がりながら、高野さんに恐る恐る尋ねる。
怖いなら、聞かなきゃいいのに。



「ピアノ?そんなの、聞こえなかったけど?」


「なんだぁ、もうビックリさせないでよ実咲!」


「・・・」


「え、ちょ、実咲?」


「え?あー、あはは、ごめんごめん」



本当に聞こえてなかったんだ。
高野さんたちには、あのピアノの音が。


鍋屋先生にも?
私以外の誰にも?


私だけに聞こえた音・・・?