大きく目を見開いたクラヴィスさんの脇をも抜け、そのまま彼はドナの元へ駆けて行く。
気付いたドナはその場にナイフを落とし両手を広げた。
ドナの元へ辿り着き強く抱き締められたツェリは愛しげに彼女の顔に頬ずりする。
トム君も走って近寄りその後ろに立つ。
ドナがツェリを抱き締めたままゆっくりと顔を上げた。
「ツェリはアタシの、アタシ達の大切な家族なんだ! モリスもトムもアドリーもリビィも、誰も殺させない!!」
その言葉、その表情から、彼女が家族を大切に思う気持ちが痛いほどに伝わってくる。
彼女にこんな辛そうな顔をさせているのは私だ。
どうしたら信じてもらえるんだろう。どうしたら――、
「ドナ姉ちゃん?」
そのとき頭上から声がした。
はっとして顔を上げるとツリーハウスの窓からアドリー君とリビィ君が心配そうに顔を覗かせていた。
「アドリー! リビィ! 無事なのか!? モリスは!」
切羽詰まったように訊くドナに二人は顔を見合せて言う。
「モリスなら……」
そして二人の間からひょっこり顔を覗かせたのは、モリスちゃんだった。
「モリス!」
ドナとトム君の声が重なる。
「お兄ちゃん、ドナ姉ちゃんどうしたの? モリスびっくりして起きちゃった」
「お前なんともないのか!?」
モリスちゃんが首を傾げる。
――光源の傍にいる彼らからは、真下にいる私たちは見えていないようだった。
「ねぇ、さっきのお姉ちゃんは? セイレーンのお姉ちゃん。さっきの歌、本当にばあちゃんみたいだったんだよ」
モリスちゃんの声は昼間と比べてとても明るかった。
私はその場を離れ、彼らの見える位置まで走って行く。
「モリスちゃん!」
「あ、お姉ちゃん!」
満面の笑みでモリスちゃんが手を振ってくれた。私はそれに答え手を振る。



