My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3


 王子がゆっくりと振り向きクラヴィスさんを睨み上げる。

「煩いぞ、クラヴィス。僕とドナだってラブラブだったんだ。お前さえ来なければな!」
「仕方ないでしょう。私の人生がかかっているんですから。お蔭様でどうにか降格しないで済みそうですよ。本当に良かった」
「……王になったらお前なんか真っ先に護衛から外してやるからな」
「こんなにやる気になってくださって、死ぬ思いまでして身体を張った甲斐がありました。このクラヴィス、貴方様が王になる日を心から楽しみにしていますよ」

 そんな二人の会話を聞いていたら、なんだか涙が引っ込んでしまった。

(な、なんか、クラヴィスさんのイメージが……)

「クラヴィス、お前さん性格変わってないか? それとも元からそんななのか?」

 アルさんも、私と同じ違和感を覚えたみたいだ。

「こいつは前からこんなだ」

 そうつっけんどんに答えたのは王子で、クラヴィスさんはとっても爽やかな笑顔をこちらに向けた。

「私、人見知りする性質なんです。どうも初めは緊張してしまって本来の自分を出せないと言いますか……。皆さんお優しい方で本当に良かった。城に戻るまでどうぞよろしくお願いしますね。アルディートさん」
「あ、あぁ」

 アルさんが、確実に顔をひきつらせているだろう乾いた笑いをしながら頷いた。
 このメンバーでの旅に少しばかり不安を感じ、私もこっそりと苦笑する。

 元々の目的地であるクレドヴァロール大陸まで、約二日。
 王子たちを無事お城まで送り届けられますように……そう私は見上げた青い空へと願った。



「My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ Ⅲ」【完】