ラグが私を見る。

「神導術士が短命で、その代わり普通の術士には無い稀な力を持っているってのは知ってるだろ」

 頭にライゼちゃんの笑顔が浮かび私は頷く。

「その逆で、人の何倍も長く生きる術士がいるって話だ」
「何倍も?」

 驚く。ライゼちゃんのことを知った時はその運命にショックを受けたけれど、これはまた違う驚きだ。
 しかしあの少年の子供らしからぬ表情を思い返すと、妙に納得出来た。

「それで実年齢より若く見えるわけか。羨ましい」

 セリーンが難しい顔でそんなことを言い、かくんと肩の力が抜ける。
 確かに長生きしたいとは思うけれど……。
 ラグも呆れたように溜息をつき、そのままツリーハウスを見上げた。

「ところで、例の王子さまとは一体いつになったら話の続きが出来るんだろうな」

 私はツェリの方を見る。彼はそこがいつもの定位置なのだろう、大樹の前に大人しく座っていた。
 そしてその傍らには彼を護るようにクラヴィスさんが立っている。

「しょうがないよ。ここにいる間はあの姿の方が安全だろうし」
「あ?」
「それより平気だったのかな、あの角。痛くないのかな。戻ったら角があった場所どうなっちゃうんだろうね」