大河がそう言うと、青野一の目から涙がこぼれていく。原刑事が言った。

「美雪さんは綺麗好きで、この家は散らかっていたりはしません。しかし、玄関だけが砂で汚れていました。あなたは隣街のお屋敷に造園の仕事で行っていたんですよね。上司の方が教えてくださいました。玄関に落ちていた砂と、そのお屋敷の砂はアフリカのナミビアから取り寄せた砂です。普通の砂ではありません」

「仕方なかったんだ!!」

青野一は泣きながら言った。

「どうしても、どうしても、この男を許せなかった。美雪が死んだのはコイツのせいなのに、百合が死んだのもコイツのせいなのに、コイツだけ幸せに笑って美雪は苦しまなければならない。体も、心も、何もかもボロボロにされて……、怒りに狂って……」

「アイツは自殺だ。俺は悪くなどない」

そう言い嗤う黒沼純一に、藍は口を開く。

「いいえ、あなたは人を殺しました。法で裁くことのできない方法で、確かにあなたは人を殺したんです」