水谷美雪の文句ばかり言う黒沼純一に、大河も如月刑事も原刑事も顔をしかめる。三人は、殺人犯は黒沼純一と疑っているようだった。

「奥様とはどのように過ごされていたのですか?」

藍が如月刑事たちの後ろから姿を見せる。そして、黒沼純一をじっと見つめた。

「美雪さんの体には、無数の傷跡が見つかりました。どれもここ最近にできたものではありません。あなたと結婚をしていた時期にできた傷だと思われます」

藍はそう言い、水谷美雪の写真の一部を見せた。殴られたような跡がたくさんついている。しかし、黒沼純一は悪びれる様子など見せない。

「だから何だ?妻ならば夫に尽くすものだろう」

そう言い、黒沼純一は結婚生活の話をする。水谷美雪は、朝から晩までこき使われていたようだ。そのせいで体調を崩し、一度流産をし、その後に百合(ゆり)という娘を授かった。しかし百合は四歳の頃、家の中庭にある池で溺れて亡くなったそうだ。それを黒沼純一は攻め続け、水谷美雪は子宮の病気にかかり子供が産めなくなってしまった。そして二人は離婚したそうだ。