「さっさと消えろ」


冷たく言い放った男の子は、背も高くモデル顔負けの長い手足で男たちを殴り、蹴り飛ばしていく。

す、すごい……。
ひとりで全員、倒しちゃった。


言葉を失っていると、男の子が怖い顔のまま私の前まで歩いてくる。
私は感動しながら、彼を見上げた。


「守ってくれて、ありがとうございます!」

お礼を言えば、男の子にため息をつかれる。

「お前、危機感なさすぎじゃね?」

呆れと拒絶が混じったような雰囲気が、彼から醸し出されていた。

「ひとりでこんなとこに出てきやがって、自分が狙われる立場だってわかってんのか?」

「は、はい……」

「だったら、こんなところでひとりになるんじゃねぇよ」

「ご、ごめんなさい。ちょっと外の空気を吸いたくて……うかつでした」


説教をされた私は、深々と頭を下げる。

私のせいで危険な目に巻き込んじゃったんだし、怒るのも当然だよね。

そう反省していると、男の子は気だるそうに片手で前髪をかき上げた。