『みっともなくて人前に出せないって心配してんなら、安心しろ。俺は親父と同じ警官になる予定はねぇからな』 

『そういうことを言っているんじゃない。お前は力の使い方を間違っている。どんな悪人にだって、一方的にふるっていい暴力はない。本当に手を出さなければ、守れないときにだけ使うものだ』

『綺麗事ばっか並べやがって、説教なら聞き飽きたんだよ!』


どんっと壁を殴って家を出た俺は、いつものように駅前で不良仲間と集まった。


『剣斗、なんか機嫌悪くねぇ?』

『親父と口論になった。説教に腹立った。以上』

『ははっ、なんじゃそりゃ。まあ、警視総監の親父を持つお前も大変だよな』


こいつらといると、楽だ。

警視総監の息子という鎧を取っ払った素の自分を受け入れてくれる。

体裁とかを気にせずに、心のままに拳をふるうことをこいつらはおかしいとは言わない。

自由でいられる場所だった。

そんなことを改めて考えていると、別の不良グループに絡まれる。


『こっち、にらんでんじゃねぇよ』

『あ? 被害妄想だろ』


くだらねぇ理由で絡んできやがって。
この命知らずが。