イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。

「剣斗くん、娘を送ってくれてありがとう。少しだけ、時間をもらえるかな?」


その瞬間、剣斗くんは〝面倒くせぇ〟という顔をした。

けれども、お父さんの手前無言でうなずく。

私たちがリビングのソファーに座ると、向かいに腰かけたお父さんがさっそく切り出す。


「実はね、私宛に【娘を傷つけられたくなければ、現在進めている法案を取り消せ】という内容の脅迫文が何通も届いていてね」

「え……お父さん、本当に脅迫文だけ? お父さんが危ない目に遭ったりしてない?」

テーブルに身を乗り出して問い詰めると、お父さんは悔しげに目を伏せた。

「私は平気だよ。むしろ、私の弱点である愛菜のほうが狙われている。私と一緒にいると、また怖い思いをさせてしまうかもしれない……」

「まさか……お父さん、脅迫文の送り主に従うの? 絶対にダメだよ!」


私を巻き込まないために、もしお父さんが法案を諦めたりしたら、自分を許せなくなる!

つい声を荒げると、隣に座っていた剣斗くんが目を瞬かせた。


「おい、落ち着け」

「落ち着いてなんて、いられないよ!」


叫べば、剣斗くんは押し黙る。