イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。

「そうだなんだ。どこの財閥のご子息かな?」


その問いに剣斗くんは心底不快そうに、はっと笑った。


「初めましてで家柄聞くの、金持ちの悪いとこだよな」

「気分を悪くしてしまったかな。ごめんね?」


その謝罪に気持ちがこもっていないのは、私にもわかる。
うわべだけの物言いが、私が気味の悪さを感じる原因でもあった。


「でも、愛菜さん。そばに置く人間は考えたほうがいい。きみの品位が下がるからね」


雅くんは私に視線を移して手を伸ばすと、髪を一房すくうようにとってそこに唇を寄せる。

それにビクッと肩を震わせながらも、私は言い返す。


「……っ、私は一緒にいたい人といる。品位とか、周りの目なんて関係ないよ」

私の言葉に雅くんは嘲笑をこぼす。

「そういう清いきみを見てると綺麗事ばかりで吐き気がする半面、俺と同じところまで堕としてあげたくなる欲に駆られたりもするんだ」


堕とすって……。

雅くんの瞳を見ていると、底知れない闇を覗いているような気分になる。
私は冷や汗をかきながら、無意識のうちに剣斗くんの服の裾を掴んだ。