イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。

「仲良く、ねぇ」

「愛菜さん、お父さんは議員になっても大活躍みたいだね。日本の将来はますます安泰になりそうだ。この学園が平和になったみたいにね」


どこか、引っかかる言い方。

ううん、言葉の端々に棘があるような気がする。

そう思っていたのは、私だけじゃなかったらしい。


「んだよ、それ。この学園、荒れてたのか?」


剣斗くんも怪しむように雅くんを見ていた。


「数年前まではね。教師は生徒にかしずいていたし、家柄で学園の生徒のカーストも決まってた」


そう、雅くんの言うとおりだ。

中小企業の社長の子どもは、大企業の社長を親にもつ生徒の小間使いになっていたり、数年前の黎明学園は親のステータスが生徒たちの権力に大きく影響してた。


「でも、愛菜さんのお父さんが学園長になってからは、みんな対等で平等。今は平和ボケしそうなほど平和だよ」


雅くんの発言に、剣斗くんはぴくりと眉を動かす。


「平和じゃ嫌、みてえな言い方だな」

「今さらなんだけど、きみは誰?」


剣斗くんの質問には答えずに、雅くんはにっこりと微笑んで話題を変える。


「今日、この学園に転入してきた矢神剣斗くんだよ」


張り詰めた空気に耐えかねて、私は口を挟んだ。