放課後、約束通りボディーガードをしてくれている剣斗くんと帰宅するべく並んで廊下を歩いていた。
すると、前からやってきた人物に私は身構える。
「こんにちは、愛菜さん」
にこやかな笑みを浮かべて手を挙げるのは、隣のクラスの安黒雅(あぐろ みやび)くん。
スラリとした長身で、アイドルばりの甘いマスクをした彼は女子から絶大な人気がある。
今も『口もとのホクロがセクシーで素敵』だとか、『女の子に優しいなんて罪』などと騒がれていた。
でも、私は前々から雅くんの感情の見えない笑みが怖くて苦手だった。
「こ、こんにちは」
返事をしないのも失礼なので、なんとか笑顔を作る。
そんな私の顔を剣斗くんは怪訝そうに見た。
「誰だ? こいつ」
「雅くんだよ。私のお父さんと同じで、議員の息子さんなんだ」
剣斗くんに紹介をすると、雅くんはやっぱり張り付けたような笑みを浮かべる。
「どうも、安黒雅です。愛菜さんとは、たまにパーティーで会うから仲良くさせてもらってるんだ。ね?」
「う、うん……」
私の態度がぎこちなかったからか、剣斗くんは疑うようにつぶやく。


