「うんっ、うれしい。私も……剣ちゃんとふたりで、ずっと笑っていられる道を探すね」


ぎゅっと剣ちゃんの首に顔を埋めると、フレグランスとは違う優しい匂いがする。

剣ちゃんは私を抱き上げたままベッドに近づくと、優しくマットレスの上に下ろした。


「剣ちゃん? シーツが濡れちゃうと思うんだけど」

「こんなときにシーツの心配かよ。別に、これから熱くなるんだから、よくね?」


えっと、それってつまり?

さすがになんのことか気づいた私が顔を真っ赤にしている間に、剣ちゃんがおおいかぶさってきた。


「汗だろうが、水だろうが一緒だろ」

「へ、変態!」


両手で顔をおおいながら抗議すると、剣ちゃんの低い声が飛んでくる。


「おいこら、彼氏に向かって変態とはなんだ」


強引に手首をつかまれて顔から外させられた手は、頭の上でまとめるようにシーツに縫いとめられる。

それから、長い時間見つめ合った気がする。

やがて、剣ちゃんの顔が近づいてきた。

胸が騒ぎだし、そっと目を閉じると――。


「んっ」


吐息ごと奪うようなキスをされた。

苦しい、でも……大好き。

よくわからない感情が私の中で暴れまわってる。


「アップアップしてんな。息しろって言っただろ」


剣ちゃんは息も絶え絶えになっている私にそう言うと、喉をぺろりと舐めてくる。


「ひゃっ、くすぐったい!」

「もう無理。今日は死ぬ気で頑張ったんだぞ、俺。お前には全力で俺を癒す義務がある」

「癒すなら、別の方法で……あっ」


抗議している途中で首筋に軽く歯を立てられた私は、びくっと震えてしまった。

そんな私の反応に、剣ちゃんはニヤッと笑う。


「俺、お前のそういう困って赤くなった顔も好きかも」

「意地悪にもほどがあるよ!」


たいして効果はないと思うけれど、私は頬を膨らませて文句をぶつける。


「私ばっかり、慌ててる。なんかずるい」

「は? それ、本気で思ってんのか?」


剣ちゃんは呆れた顔で、上着をベッドの下に脱ぎ捨てると私の手を自分の胸に持っていく。

触れた肌が熱い。

手のひらから、鼓動の速さが伝わってくる。


「あ……剣ちゃんもドキドキしてる?」

「これでわかったか? お前に触れてて、平然としてられるほどジェントルマンじゃねぇんだよ」


ふっと優しく笑った剣ちゃんは、私の手を自分の唇に近づけていくと指先にキスをする。