「愛菜っ」


水の中から私を引き上げた剣ちゃんは、強く強く抱きしめてくれた。


「来てくれるって信じてた!」


自分からも剣ちゃんの首に腕を回して、ヒシッとしがみつく。


「あたり前だろ、守るって約束したからな」

「うんっ」


大好きな人の温もりを感じていると、濡れて頬に張りついた髪を剣ちゃんが耳にかけてくれた。


「どこもケガしてないな?」

「うん、剣ちゃんのおかげで無傷です」


ふたりで微笑み合い、私は少しだけ身体を離して改めてお礼を言う。


「本当に本当にありがとう。こうしてまた、剣ちゃんに抱きしめてもらえてうれしい」

「俺もだ。愛菜を取り戻せて、もう一度抱きしめてやれる。たったそれだけのことが、すげぇうれしいんだよ」


剣ちゃんは濡れて冷え切った私の身体を温めるように抱きしめると……。


「無事でいてくれて、ありがとな」

触れるだけのキスをくれた。