「好きな人って私・・・?」

は・・・?
え、そ、そこから?
俺の気持ち、全然気付いてなかったのか。
全然、気付いてなかったのか。

「決まってんだろ。バカか、お前は。好きだよ。ずっと前から。なんで気付かねえんだよ。」

沙和は何とも言えない表情を浮かべている。

どっちだ、これは。
「でも実は田尻くんが好きだから。」と言われるパターンか。

そして田尻はどこだ。

今日は田尻と一緒じゃねえのか。

「塾のみんな」って誰だよ。
田尻なんだろ。
田尻と2人で観る予定だったんだろ。

もうこれは最後の告白だ。
言うしかない。

これを言うためだけに、俺はここまで来たんだ。

「今日の花火は、俺と見て欲しい。」

俺はそう言ってなぜか手を差し出していた。
なんだこれ、ダサすぎる。

「ごめんなさい。」

そう言われる図しか思い浮かばない。

無言。

ああ、ダメだ。

そう思った時、手に暖かいものが触れた。
沙和の手だ。

「うん。」

えええええええええええ。

沙和ーー!!

沙和ーーー!!

好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ
何度でも言うぞ、好きだーー!!
大好きだーーー!!

田尻になんか渡さねーぞー!!

俺はギュッと手に力を込めてそのまま歩き出した。

田尻、ざまあ。

花火大会が始まる。