一階の保健室についた。

ノックをしても全然反応はない。
少しだけドアを開けて中を覗く。
奥のベッドのところだけカーテンで仕切られていた。
きっと沙和だ。

俺は静かに中に入る。

寝てるんだろうか、何も物音がしない。

カーテンの隙間から沙和が寝てるのが見えた。

ああ、ストーカーの気分。
軽く罪悪感。

カーテンの内側に入る。

沙和はぐっすり眠っている。

きれいな寝顔。
こうやって冷静に見ると、本当に美人。

たぶん、俺の好みは沙和が基準になっている。

ずっと一緒にいて、居心地が良かったから、沙和が当たり前になっている。

俺の好みのタイプは沙和そのものなんだと思う。

少しの間、椅子に座ってみたけど、部活の時間も迫っていた。

俺はそろそろこの場を去らなきゃと立ち上がった。

そして去り際につい勝手に手が伸びた。
無意識に、本能的に、沙和の髪を撫でる。
頭を撫でた流れで、なんとなくおでこに手を当てた。

熱は全然ない。
良かった。

ホッとしてると、沙和がゆっくり目を開けた。

「ごめん、起こした?大丈夫?」

俺は申し訳なさでいっぱいになる。

「あ・・・ごめん。部活は?」
「今から行くよ。」
「そっか。」

沙和の声に元気がない。
体調が悪そうだ。

俺の心情を察したのか、沙和が笑う。

「ありがとう、大丈夫だよ。」

全然大丈夫じゃないじゃん。