階段を上ると、真っ暗になってる部屋の電気を点けてテーブルにビニール袋をトンと置く。
沙和はどうすればいいのか少し困ってるように、その場に突っ立っている。
「座れよ。」
そう言うと、沙和は「うん。」と言って座った。
ビニール袋を開けると、透明のプラスチックの容器にぎゅうぎゅうに詰め込まれた定食が顔を出した。
俺の大好きなものばかり。
これを準備して、負けた俺を励まそうと待っていたのかな。
ふと、いつもの店の様子が頭に思い浮かぶ。
いつまでたっても来ない俺を心配して、沙和が届けてくれたんだろう。
涙をグッと堪えて割り箸を割る。
一口食べる。
いつもの味だ。
まだまだ温かい。
さっき詰めたばっかりの温かさだ。
大葉に包まれて、梅肉を乗せられたササミ。
鶏皮ポン酢。
ネギマ。
軟骨の唐揚げ。
春雨サラダ。
あったかいご飯。
食べるたびに、肩が少し痛む。
右腕が重い。
7回まで一生懸命投げてくれた腕。
無理させてごめん。
今日は1回で投げた時からダメだと思った。
何回まで投げられるか分からなかった。
だけどヒット打たれた割に点数には繋がらなかった。
後ろのみんなが抑えてくれたからだ。
今日の守備はすごく良かった。
たぶんみんな勝つことを全然諦めてはいなかった。
チームメイトとしても、すげーかっこよかった。
好プレーばっかり。
父さんと母さんの応援の声もちゃんと耳に届いていた。
今日の俺はちゃんと声に応えられるくらい頑張れていただろうか。
堪えようとしていたのに、気づくと色々な想いが溢れて、瞬きした途端にボロボロッと涙が零れ落ちた。
そして、一度溢れた物はもう止まらなくなる。
試合で負けた時は全然泣かなかったのに。
家に帰ってきて、母さんから「頑張ったじゃない。」と言われた時も、堪えていた涙。
やっとプレッシャーから開放された安心感しかなかったのに。
なんでだろう、なんでここに来て涙が出るんだ。
ご飯がすごく美味しい。
だけど、しょっぱい。
涙が止まらねえ。
沙和はどうすればいいのか少し困ってるように、その場に突っ立っている。
「座れよ。」
そう言うと、沙和は「うん。」と言って座った。
ビニール袋を開けると、透明のプラスチックの容器にぎゅうぎゅうに詰め込まれた定食が顔を出した。
俺の大好きなものばかり。
これを準備して、負けた俺を励まそうと待っていたのかな。
ふと、いつもの店の様子が頭に思い浮かぶ。
いつまでたっても来ない俺を心配して、沙和が届けてくれたんだろう。
涙をグッと堪えて割り箸を割る。
一口食べる。
いつもの味だ。
まだまだ温かい。
さっき詰めたばっかりの温かさだ。
大葉に包まれて、梅肉を乗せられたササミ。
鶏皮ポン酢。
ネギマ。
軟骨の唐揚げ。
春雨サラダ。
あったかいご飯。
食べるたびに、肩が少し痛む。
右腕が重い。
7回まで一生懸命投げてくれた腕。
無理させてごめん。
今日は1回で投げた時からダメだと思った。
何回まで投げられるか分からなかった。
だけどヒット打たれた割に点数には繋がらなかった。
後ろのみんなが抑えてくれたからだ。
今日の守備はすごく良かった。
たぶんみんな勝つことを全然諦めてはいなかった。
チームメイトとしても、すげーかっこよかった。
好プレーばっかり。
父さんと母さんの応援の声もちゃんと耳に届いていた。
今日の俺はちゃんと声に応えられるくらい頑張れていただろうか。
堪えようとしていたのに、気づくと色々な想いが溢れて、瞬きした途端にボロボロッと涙が零れ落ちた。
そして、一度溢れた物はもう止まらなくなる。
試合で負けた時は全然泣かなかったのに。
家に帰ってきて、母さんから「頑張ったじゃない。」と言われた時も、堪えていた涙。
やっとプレッシャーから開放された安心感しかなかったのに。
なんでだろう、なんでここに来て涙が出るんだ。
ご飯がすごく美味しい。
だけど、しょっぱい。
涙が止まらねえ。



