「ああ」

ひらめきの声が漏れた。

「俺に何かしてほしいってこと?」

どうだ、と言わんばかりの顔になってたと思う。

沙和が一気に苛立った表情になる。
まずい・・・

「なにその言い方・・・そんな言い方・・・」

声がわなわなと震えている。

言い方・・・?
まずかったか?

「あ、違う?」

他にどう言えば良かったんだ・・・

そこへ後ろの店のドアがガラガラと開いた。
先輩のおっちゃんだ。
俺は少し避ける。

「おお、なんだ沙和ちゃんと平良くん。」

笑顔を作って会釈する。

このおっちゃん話長いし、今日はもう疲れた。
帰ろう。

「まあ、いいや、俺帰るわ。」

俺は沙和に「じゃ」と声をかける。
なんとなく沙和が俺を睨んでるのを背中で感じて、振り返ることができなかった。

ああ、なんか今日はダメ日だ。

沙和の気持ちがわけわからない。

部屋に着くと、ドッと疲れが押し寄せてきた。
今日はもう寝よう。