その散っていった向こう側に、沙和の姿を見つけた。

え?
残ってたの!?

離れているのに、バッチリと目が合う。
(キューン)

沙和がまっすぐ小走りでこっちに向かってくる。
(キューン)

もしかしてだけど、
もしかしてだけど、
会えない間に手作りしてた何か貰えちゃうんじゃないのーーー

やべえー
心臓が苦しいほどにドキドキする。

落ち着け、落ち着け自分!

ああ、ダメだ、ドキドキする!

「平良」

きたーーーー!!!

パッサパサに乾いた俺の口からは「ん?」しか出てこない。

「あの・・・」

沙和が少し俯く。

何が出てくるんだ?
一体何が出てくるんだ?

「・・・頑張って。」

ん?

・・・とは思ったが、俺の口から自動的に「ありがと。」と出てきた。

「うん、ごめん、それだけ。」

沙和が恥ずかしそうに髪を耳にかける。

え?それだけ?

「いってらっしゃい。」

お、終わった!
待て待て待て待て、終わりかい!

期待し過ぎた、俺!

そうだよな、沙和はああいうの手作りするようなタイプじゃないもんな!

破裂しそうだった心臓がプシューーーーーとしぼんでいくようだ。

沙和がその場を去ろうとする。