「ねぇ、今何時かわかる?」

そう聞くと彼はスマートフォンを手に取り、ボタンを押した。

顔を照らす明るい光に、顔をしかめる。


『んー、

19時半、だいだい…』

そう呟くとそれを元あった場所へ置いた。


「そろそろ…帰んなきゃ」

『ん、駅まで送るから、ちょっと待って』

体を起こした彼と目線が揃う。


「ううん、大丈夫。

家遠いし、そこの道でタクシー拾うから」

彼はそっか、と優しく微笑んだ。