『すまない、驚かせるつもりはなかった』

表情を変えずに言う。


「い…いえ…」

この間パン屋へのお誘いを受けてから、一週間以上過ぎている。


…だって避けてたから!

無理!怖すぎるんだもん!

っていうかなんで私なの!?
ほとんど話したことないんですけど!


自販機のボタンを押す有松さんをそろりとのぞき見る。

実は有松さんには、隠れファンが多い。
涼しげな二重の目にすっと通った鼻筋。