彼は思いを巡らすように俯くと、腕組みをする。
「あ、何でも適当な物で大丈夫ですので!」
『ちょっと待ってて』
そう言い残すと、踵を返したその背中は脱衣所を出ていく。
程なくして戻ってきた彼の手には、畳まれた洋服が握られていた。
それを目にすると途端にまた緊張が押し寄せてきて
まるで表彰状を受け取るように両手でそれを受け取った。
扉を閉めて、内鍵を掛ける。
鏡の前に立つと、すっかり濡れた自分の姿が映った。
「あー…やっぱり完全に取れてる」
細くてコシがない猫っ毛の髪の毛は、カールアイロンで巻いても巻いても癖は付きにくいし、
夕方にはストレートに戻っている。
ましてや雨に打たれたとなれば、尚更それを保つのは不可能だ。

