彼は何かを考えるように目を伏せると、甘く焦れったい沈黙が二人を包んだ。 『…やっとだ』 「え?」 彼の口から呟くように発せられた声が、沈黙を静かに破る。 『やっと、お前に振り向いてもらえた』 二人の間を再び優しい風が吹き抜ける。 その言葉に何だか気恥ずかしくなり、思わず握られた手に視線を落とした。 「あ、あの…」 『ん?』 ずっと気になっていた。 どうして有松さんは、私の事が好きなんだろう。 聞くなら今しかない。 意を決して口を開く。 「どうして有松さんは、私の事…」