『…俺だけだと思ってた。 こんなに余裕がないのは』 「え?」 彼の言葉の真意が読めずに聞き返すと、彼は言葉を探すように視線を泳がせた。 『…今日だって、実は緊張してた。 お前がゲームしてるの見たら、やっぱり俺だけかって』 「あれは、私も緊張してて…紛らわそうと…」 彼は私の言葉に、そうか、と一言言うと 眉を下げて微笑んだ。 束の間、訪れた静寂が握られた右手の熱さを際立たせていく。 『日比野』 静かに私の名を呼ぶ声に顔を上げると、彼の真剣な瞳が私を捕らえた。