洗練されていて、シンプル。
主張する煌びやかさはないけれど、日々の生活に優しく寄り添うような優しい雰囲気の漂う部屋。
リビングに並べられたアンティーク達。
彼はそれらを“欲”だと呼んだのだと思っていた。
けれど本当はこの部屋のことなのかもしれないとその時私は思った。
ベッドの脇に立つと、深海のように深い青色のベッドシーツにそっと触る。
その場にへたり込むように座ると、彼の優しい香りがふわっと私を包み込んだ。
ベッドに体を寄せると、まるで彼に抱き締められているような錯覚に陥る。
「早く…帰ってこないかな」
歩いていた時には気付かなかったけれど
酔いは思った以上に回っているようで、頭がとても重い。
私は身体の力がどんどん抜けていくのを他人事のように感じながら、重い瞼をゆっくりと閉じた。

