足りない。
もっと、もっとして欲しい。
もっと深く彼に求められたい。
気付けば私の腕は、彼を求めるようにその背中を強く抱き締めていた。
それに反応するように唇がそっと離れると、彼はまっすぐにこちらを見た。
また、あの目だ。
全てを見透かしているような瞳。
まるで深淵に落ちていくように
その奥深く、飲み込まれてしまいそうになる。
『…準備、しないと』
彼は目を伏せると、そう一言ポツリと呟く。
またブレーキをかけられてしまった。
けれどしっかりと彼の背中に回された私の腕は、彼から離れようとしない。
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