COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―


『いいですよ。
どうせなら泊まっていきますか?』

「え?」

彼のその思いもよらない言葉に私の思考は完全に止まった。

いつもどこか踏み込ませてくれない雰囲気を(まと)っている彼。
誰に言われたわけでもないけれど、その領域に踏み込んではいけないのだと勝手に思い込んでいたからだ。

『無理にとは…言わないですよ』

「あ!いえ、あの」

固まってしまった私を気遣うように投げかけられた彼の言葉に、慌てて取り繕う。

『ん?』

彼はこちらを覗き込んで、優しく微笑んだ。
私は折角のチャンスを絶対に無駄にしたくない一心で、言葉を絞り出した。

「お泊り、したいです…」

こうして突如、彼の家へのお泊まりが決定した。

ホームパーティーはもちろん楽しみではあるけれど、週末が近付いてくるにつれ、緊張感は徐々に増していった。