『花緒先輩、ツボ浅くないですか』
花緒の隣に座る優香がその背中を撫でながら、淡々と告げると花緒の笑いは更に加速した。
こんなくだらないことで、笑い合えるのも久しぶりだ。
ここ最近は皆それぞれ色々あったのだろう。もちろん、私にも。
楽しいことも、辛いこともあるけれど、この四人の空気感がずっと変わらずいられたら。
皆の笑顔を眺めながら心からそう望んだ。
美味しいオードブルにどんどんお酒は進み、皆ほろ酔いになってきた頃。
恋愛のことについてはめっきり口を閉ざしている花緒に理央が絡み始めた。
『花緒先輩は…どうなんですか!?
れ・ん・あ・い!』
『うーん、どうかなぁー?』
まぁそれも無理はない。
なんせ相手は私達の直属の上司だ。
けれどわざとらしくはぐらかす花緒は、何だか少し嬉しそうだった。
『あ…伏屋室長とかどうです!?
あ…でも花緒先輩モテるから…残念、室長…』
「勝手に失恋させられてる基くんが哀れね」
そう言って花緒を見ると、彼女はふわりと笑う。
相変わらずの花のような可愛らしい笑顔は、前にも増してその可憐さを増していた。
なるほど、これも基パワーってことね。

