ソファの生地に擦れているのだろう、いつもより大きなその音を頼りにそれを見つけると、
画面に表示された彼の名を寝ぼけまなこで見つめた。

「…はい」

『…あっ!本郷さん!
今配達に来たんですけど、お留守ですか?』

「あ……そっか。ごめん、今開けるね」

彼の元気な返事を聞きながら、共有玄関の鍵を開錠ボタンの前まで歩を進めるとボタンを押す。

しばらくして再びインターホンが鳴ったので、寝ぼけた頭のまま玄関へ向かった。
扉を開けると、彼はみるみる笑顔になる。

『本郷さん、こんにちは!』

相変わらずのそのワンコっぷりに思わず笑みが零れる。

「ふふ…、可愛い」

『え!?いや、あの』

呟いたその言葉に、慌てふためくその顔はみるみるうちに赤く染まっていく。