『…どうして返事くれないんですか?』

彼のその言葉にお腹の底、湧き上がる罪悪感は
蜷局を巻くように渦巻いて体中を支配していく。

私は恐らく、これから彼を傷つけることになるのだろう。

けれど、うまく彼を丸め込むようなことだけはしてはいけない。

ちゃんと話さなきゃ。


「ごめんね。
この間楓の家に泊まった時…」


「実は私あの時…起きてたの」

私のその言葉に、彼の顔がみるみる曇る。


「キスされたことも、
その後に楓が言ったことも…全部知ってる」


『…嫌な気持ちにさせたなら、すみません』


「違う」

すぐさまその言葉を否定すると、俯いた彼をまっすぐに見つめた。