その人は体をこちらに向けて、ハキハキと礼儀正しく挨拶をした。
『皆さん、入社おめでとうございます。
私は秘書課の中島 昭香と申します!どうぞよろしくお願い致します。』
部屋が再びシンと静まり返る。
『ここからは、秘書課の業務について説明させてもらいます!
ここまで散々話聞いてて疲れてると思うけど、私が終わればお昼だから!
がんばろー!』
そういうと彼女は弾けるように笑った。
美しくて、突き抜けるように明るくて、皆の憧れの的。
彼女を嫌いだなんて言う人はきっといないのだろう。
僕とは真逆にいる人だ。
ボールペンを持ち直し、メモの準備をする。
すると彼女がこちらを向く。
その視線は僕の手元にに注がれている。
ああ、きっとバカにされる。
こんな経験はもう幾度となくしてきた。それについさっきだって。

