それから僕は死に物狂いで勉強をした。
その成果が出たのは高校受験。
僕は有名進学校に特待生として合格し、町を出た。
幸せになるには一流企業に入らなければ。
それしか目に入っていなかった僕は大学生になっても、相変わらずだった。
ギャンブルやお酒に溺れることもなく。
旅行をしたり、友達と語って夜を明かすこともなく。
一度だけ彼女ができたことがあったが、
好きなのかそうでないのかよくわからないうちに別れた。
ただひたすらに勉強とバイトに明け暮れた大学生活。
学費を稼ぎながら生活していくことは決して楽ではなかった。
けれど、心が折れそうになるたび、昔を思い出した。
あの時に比べたら、こんなのなんてことない。
僕は、”持てる者”になるんだ。
そう心を奮い立たせていた。
そして僕は、一流企業への就職という目標を難なく成し遂げた。

