仕事を終えて応接室を出ると、いつも静かな廊下は行き交う人で混雑していた。
歩きながら腕時計に目を落とすと、もうすでに時刻は12時を少し過ぎたところ。
昼食のために外へ向かう波を逆行する。
エレベーターホールに着くと、
ほとんどのエレベーターは下の階へと人を運ぶために忙しなく稼働していた。
そうなると、もちろん昇りのエレベーターもなかなかつかまらないわけで。
やっとの思いでエレベーターに乗り込んだが、今日も間に合いそうにない。
その時、ふとあることに気付く。
私、まるで会いたくてたまらないみたいじゃない。
しかも会ってないといっても、たった数日だ。
「…変なの」
一人きりのエレベーターに、小さな声を落とした。
エレベーターから降りてオフィスへ向かって歩を進めていくと、
オフィスの扉の外、誰かが壁にもたれている。

