イルカを眺めながらそんなことを考えていると、隣から笑い声が降ってきた。

『お前…っ、イルカに向かって…顔芸するなよ』

震える声でそう言い終えると、
こみ上げる笑いを落ち着かせるように息をひとつ大きく吐いた。


『お前は周りを笑顔にしてるだろ、いつも。

だから、イルカっぽい』

ぐわっと耳が熱くなる。

今日の有松さんがキザなのか、それとも私がおかしいのか。
その理由はわからなかった。


「あ…あっち!

行きましょう!」

その雰囲気にいたたまれなくなり、先を促す。

目の前に現れたのは壁一面の大きな水槽。


「これ…イワシ?

…全部?」