「い…いっつもそうやって笑ってたらいいんですよ!」
「笑ったら可愛いのに!」
自分でも口に出したつもりのない言葉が口からどんどん出てくる。
何言ってんの私!!
耳の熱が首まで伝って、自分がどんな表情をしているのかさえわからない。
『おい、ちょっと落ち着け。
じゃなくて、今日言いたかったのは…』
目の前、有松さんの困った顔。
よく見ると、耳が真っ赤になっている。
『週末…、二人で出かけないか』
そういうと、彼は鞄から少し緊張した手つきで水族館のチケットを取り出した。
可愛らしいイルカの写真のそばには前売り券、と白字で書いてある。

