枕元に明かりが灯されると、その顔が見えた。

いつも綺麗にセットされた前髪が少し乱れている。

完璧な王子様の“隙”を見た気がして、なんだかそれが可愛く思えた。


『すっごいお腹空いた』

そう言って彼は笑う。


「何食べたいの?」

『焼き鳥』

まるで少年みたいに笑う彼に、私も堪え切れず笑った。


『食べに出よっか』

そう言って体を起こす
その背中にふと沸き上がった疑問を投げかける。


「そういえば徳重くんって、キスしないよね。

なんで?」

振り返る彼が意地悪く笑う。

『してほしいの?』