吐く息が熱い。

お腹の奥底から支配されていくような感覚。


触れるたびに、心が“彼”を想った。

求められるたびに、心が“彼”を感じた。


何度も何度も、名前を呼んだ。

その度にそれに応えるように私を抱きしめる腕。

抱きしめ返すと、胸が痛く締め付けられた。

お腹の奥底から支配されていくような感覚が、
あの日から消えずにいた自己嫌悪すら消し去っていくような気がした。


身体が離れてもなお、頭の奥で反芻する。

それほどに私は溺れていた。


それが落ち着いてくると、隣にいる背中に意識が向く。

「…寝た?」

声をかけると、ううん、と掠れた声で返事をしてこちらを向いた。