カウンターを見ると、先程のカップルが会計をしていた。
『来月からはご飯の種類を増やそうと思ってて!
また是非いらしてください!』
お客さんを見送る春田くんの優しい笑顔。
私の視線に気付いて、テーブルに歩み寄ると
空いている椅子に腰かけた。
『どうです?
食べていくのも悪くないでしょ』
そう言って覗き込む彼の笑顔。
「春田くん、この間言ってた…あの」
『ん?』
不思議そうな顔で私の言葉を待つ。
「イタリアンオムレツ…教えてほしいの」
私も春田くんのように誰かを幸せにしたい。
『…はい、もちろん!
あ、なんなら今日でもいいですよ!』
弾むような声に顔上げると、彼は優しく微笑んだ。

