深い深い闇の中

お願い放っておいて
私はもう、眠りたいの

「どうして?」
囁くように耳元で声がする

「どうして君はそんなに悔やんでいるの?」

やめて

「ねぇ、どうして?」

お願いだから、もうやめて
もう、嫌なの

なにも考えたくない
もうなにも感じたくない
お願いだから

ヒトリニシテ

「本当に?本当にそれが君の願いなの?」

・・・・・・・

違う

ひとりはいや

本当はこんな真っ暗なところ、いたくない!
でも、でも

「でも?」

生きていていいのか、わからない。

「なんだ、そんなこと?」
ふふっと柔らかい笑い声が私の耳に届いた。

「生きとし生けるもの。全てのモノに生きる権利はある。少なくとも僕はそう信じてる」

だってそうじゃないと理不尽だ、と続けた声はなんだか自分に言い聞かせてるようだと私は感じた。

あぁ、そうか。
この人も、ううん。みんな、みんな
迷いなから、戸惑いながら生きている。
苦しくても目を逸らしてばかりでは、いられないんだ。

「もう、大丈夫みたいだね」

また囁く声が耳に届く。

大丈夫かどうかわからない。
でも、もう少し頑張ってみる
 
「うん」

ねぇ。また会える?

「さぁ。どうだろう?」
今度は少し意地悪な声。


なんだか悔しい。

「今度会ったら、名前教えてね!」

返事は返ってこなかった。
それきり、声もピタリと止んだ。

だけど、もう大丈夫。
また、頑張れる。頑張ってみせる。
だって、彼にちゃんと会いたいから

その時に
ちゃんというんだ。
「ありがとう」って