この秋、私は入学して半年が過ぎた学校を去り、片思いの相手がいる高校へと編入した。

「三原蜜璃です。よろしくお願いします。」

彼のいるクラスには入れなかったものの、これから毎日夢のスクールライフを送れるのだ。
廊下を歩いて彼を探していると、、、

「蜜っ!!」

彼の声だ。ずっと聞きたかった。
でも、親の都合で転校したとしか理由を言えない。彼は私の気持ちに幼稚園から気づいていない。

「あ、恭ちゃん。久しぶり。」

あくまでも自然に。いつもと変わらず。
怪しまれないように。好きを隠す。

「素っ気ないじゃん。久しぶりなのに。
もしかして俺に会いたくて転校してきたとか?」

うなずきたいけど、冗談交じりにからかってくる恭ちゃんが愛おしい。
でも、運命には逆らえないよね?

「ちげーし笑恭ちゃんこそ来て欲しかったんじゃないの?」

もしこの答えがノーなら。どうしよう。
冗談でも、傷つくよ。でも、気を使って嘘をついて後から気づくくらいならノーって言ってくれたら……

「会いたかったよ。蜜いないと寂しいし。」

これだよ。私に甘い罠をかけて突き落としてくるのは。
中学1年の時、私に甘い言葉をかけて期待させたくせに、あっさり学年1可愛い子と付き合った。

「嘘つかないでよ笑笑もう行くね。」
「待って!今日暇なら俺ん家来る?」

私の手を掴み引き止めた。
その瞬間、体が宙に浮いちゃうんじゃないかってくらいドキドキした。
触れ合っただけで、私喜んでバカみたい。

「うん。わかった。」
「じゃあ正門で待ち合わせね!じゃあな!」

え、一緒に帰るの?????
て、手とか繋いじゃったらどうしよ。
ハンドクリーム塗っとかないと!
やばい。心臓が飛び出てる。