秘密のキスで、甘く溶かして。




「なんですか」
「放課後、会おうよ」

「……はい?」
「その余裕そうな表情、壊してやりたいからさ」


わけのわからないことを言い出す彼。
さすがの私も理解が遅れる。


「行く意味あります?」

「そうだなぁ、じゃあ明日に黒染めしてくるって約束する」

「へぇ」


それは悪くない条件だ。

私が彼から解放されるとしたら、彼の身だしなみが整ってからだろう。


もし放課後に会うだけで黒染めしてくるのなら、行くほうが有利である。

一度騙されたと思い、会おうか。


「わかりました。
場所は?」

「そうくると思った。
じゃあ放課後、保健室で」

「はい?」

「今日、放課後は先生たちの会議。
絶好のチャンスだね?」


嫌な予感がするけれど、黒染めのためだと思いここは素直に行くことにした。