秘密のキスで、甘く溶かして。




「じゃあ今から一緒に食べ…」
「それは結構です」

女子と食べたいのなら、私ではない誰かに頼めばいい。

彼の願いとなればすぐ受け入れる女子も少なからずいるはずだ。


「ねぇ、最近思うんだけどさ。どうして普段は俺の服装に関して注意しないの?

“地獄耳ならぬ地獄目を持つ松橋さん”」


何が地獄目だ。

委員会の仕事があるときしか厳しくしないというのに。


「わかっているのなら自分で変えればどうですか?」

「言葉の厳しさは変わらないね。
俺って悪い子だから。

風紀委員会のブラックリストに載ってる?」


「もしブラックリストがあるのなら、あなたしか該当する人がいませんが」


このように厳しい言葉をぶつけようが、水葉くんは構わず私に話しかけてくるのだ。

それはそれで面倒である。