「でもかわいい女の子は、俺が捨てない限りペタペタくっついてくるんだよ。
中には遊び人もいるけどさ、必要とされるセカイ。バカにされない、蔑んだ目も向けられない」
「必要とされたいんですか?」
「生きてるって実感したいだけだよ」
重い言葉。
かんたんには理解できない、心の傷。
「むずかしいですね」
「うん、俺だけの感覚だろうから」
「水葉くんも毎日がつまらないんですか?」
生きてると実感できないときは、いったいどんな気持ちなのだろう。
彼は抜け殻のようでつまらない日々を送っているのかもしれない。
「キミみたいな子、初めてだけど俺はスキだな」
「……はい?」
思わず足を止めそうになったけれど、気を取り直して彼の横を歩く。
こんなにも会話に馴染ませた“スキ”を私は初めて聞いた。