その理由はただひとつ。
“真面目に見えるから”だ。
「徹底的だね」
「返してください」
「こんな綺麗な瞳してるのにもったいない。
まるで透き通るような瞳だね」
メガネをかけていない今のほうがはっきりと彼の顔が見える。
たった数ミリのレンズが視界を悪くしているようだ。
「吸い込まれてしまいそうだ」
「メガネ、返してください」
メガネをかけていないと落ち着かないため、奪い返そうと思わず手を伸ばしたけれど。
簡単に手首を掴まれてしまう。
「細いね、すぐに折れそう」
余裕たっぷりの笑みを浮かべ、手の甲にキスを落とされたため手を振り払おうとしたけれど、強くてそれも敵わない。



