「うん、言ったね」
「じゃあ何がしたくて…」

「キミが俺の相手になってくれるなら、この髪黒くするだけじゃなく真面目になるって約束するよ」

「は…」


風紀委員としては好条件。
ただし相手は含んだ笑みを浮かべている。


「もちろん表向き、はね」

覆いかぶさっている彼が、私の首筋に親指を添える。


「いい条件だと思わない?
真面目になるんだよ」

「でも表向きだけですよね」
「当たり前。裏ではキミと関係を持つんだから」

「他の女子のほうがいい気がします」
「キミとならいい関係を築けそうだからね」


彼の指が私の首筋をなぞる。
ピクッと反応してしまうのは反射的なものだ。

くすぐったい。
体も、心も。


私の奥深くに眠る“何か”が疼く。


「キミはどの選択をする?」
「……私は」


真面目に生きていると、毎日が平和に終わる。
激しい嫉妬を買うこともない。