「メガネが邪魔だね」
「だから離してください」
「キスされてもその余裕か、悪くない反応だよ」
彼が私の頭に手を置いた。
そして頭をポンポンしては撫で、ポンポンしては撫でるを繰り返しながら空いている手を伸ばして静かにカーテンを閉めた。
これでもう周りの世界とは遮断された。
「“真面目を演じてるキミ”は、衝動的にハメを外したくなるときがないの?」
真面目を演じている、その言葉がグサリと胸を突き刺す。
「ないです」
「すごく生きづらそうだね。その容姿のせいで周りから注目されて。風紀委員会に入ったせいで警戒されるようにもなった」
まさにその通りである。
真面目に生きることは楽だが、面白味がない。
逆に首が締め付けられたような感覚だってある。



